2016/01/10 【山あるき】 冬の富士山 ”下山” (登山ではない) -5合目から精進湖まで 快晴のパノラマビューと富士樹海トレイルラン(もどき)-
- はじめに
早いもので年が明けて3連休がやってきた。天気はすこぶる快晴。そんな連休の中日に大学時代の先輩に誘っていただき、2人で富士山に行ってきた。
と言っても今回は"登"山ではなく、ほとんどが"下山"という少し変わった山行に。
富士山というとふつう頂上までの登山を思い浮かべる人が多いと思われるが、特に世界遺産登録後は富士山の登山客も増え5合目以上は混雑気味だそう。そんな状況も相まって近年、あえて登山客の少ない5合目からの登山道を下山することも注目されつつあるそうだ。特に、5合目以上の登山道は年間通じて3か月ほどしか通れないのに対し、5合目以下のルートは通年通れるため、冬の時期でも富士山を楽しむことができるのが魅力。
- 今日のルート
富士急富士山駅から富士スバルライン5合目までバスで移動し、そこから富士山5合目付近をぐるりと回る御中道を通って御庭まで行きその後、精進湖に向けてひたすら下っていくというコース。
途中、標高2300m付近からの景色や、富士山の原始林、樹海や風穴など、富士山ならではのポイントが楽しめるのが特徴。
全長で約20キロ、手元の地図 (山と高原地図) では標準コースタイム7:15(休憩除く)
下山後は赤池バス停からバスで富士眺望の湯 ゆらりに立ち寄り、疲れを癒した後、河口湖駅から帰宅する。 - コースタイム
富士スバルライン五合目(河口湖口)10:05→11:00奥庭駐車場(御庭バス停)→11:10奥庭荘11:30→12:05精進口三合目→12:15富士スバルライン三合目(バス停)→12:35精進口二合目13:03精進口一合目13:40富士風穴13:4513:55精進口登山道-富士宮鳴沢線分岐14:58赤池バス停
- 時系列
06:42 矢川駅より電車に乗車(写真は駅から見えた富士山)
08:35 立川駅・高尾・大月で乗り換えをへて富士山駅到着
08:42 08:40発の富士スバルライン5合目行きのバスに乗車
乗車時にSuicaで乗ろうとするも運転手に割引を効かせるために窓口で切符を買うように言われ、窓口に向かうことに。結局・割引は往復のみであることが発覚(片道1540円 往復2040円)
一方片道の場合では、割引が効かないため・むしろSuica等を使ってバス得を効かせるほうが実質的な割引になる。再度バスに戻って運転手にお願いして、Suicaで乗車させていただいた。(どうやら片道のみのる人はほとんどいないようだ)
09:50 5合目到着 外気温は-3℃。 風が吹いており体感気温はさらに低かったものの、この時期としては暖かい方だそうな(やっぱり暖冬)
何より冬季でも2300mまでバスで来れることに驚き!南側の富士山スカイラインでは冬季閉鎖期間である一方、スバルラインは有料道路のため、除雪を行っており、通年オープンしているらしい(天候によっては通行止めあり)
とはいうものの、ほとんど積雪もなく、本当に1月半ばの2300mかと思うぐらい。
こんな時期でも、3連休の影響かそこそこ多くの観光客が来ていた(登山姿の人はほとんどいなかったけど)
さまざまな言語が飛び交う5合目は少し異様な空間だったが出発前にトイレを済ましておく(100円)
10:05 駐車場脇から御中道に入る (御中道は冬季閉鎖中だったが、今回は念のため軽アイゼンなども持参しており、天候・積雪量等の状況も考え自己責任で立ち入った。)
御中道からのパノラマ
南アルプス方面
八ヶ岳方面
奥秩父(金峰山)方面
なお、北関東方面の山々まで見えていたものの、スマホのカメラでは撮影できなかった。(今回、途中の樹林帯で軽く走り、トレイルラン(もどき)も楽しむ予定であったためミラーレスは持参していなかったことを後悔)
ところどころ積雪があったものの10cm 程しかなく、アイゼンも必要ないレベル。やはり暖冬の影響なのだろう。ほかの人の足跡も確認。やはりこの時期でも立ち入っている人はほかにもいる様だ。
抜群の展望が楽しめる道
10:43 寄生火山のくぼみ ベンチなどが添えつけられており、ここからの景色も抜群 なお、富士山にはこの様な寄生火山が多く点在しているらしい
途中、朽ちた小屋(御庭山荘あと)があった
御庭バス停向けくだります(小屋の分岐点を直進すると、大沢崩れを見に行くことができる)
11:00奥庭駐車場(御庭バス停)到着
これより奥庭展望広場までは石畳で整備された道
11:10 奥庭展望広場着 これより下は樹林帯に入るため、パノラマは見納めせっかくなのでここで早めの昼食をとることにした。(昼食はこいつ をつかった定番のカップラーメン)
11:30 最後の展望を楽しみ精進湖めざし本格的に下り開始
ここからは基本的に樹林帯の中の静かな道 先ほどまでのような展望が開けるところはない
ところどころ積雪はあっても、相変わらず少なく登山靴のみで難なく通過
登山道は苔むした森林の雰囲気が漂う
一方で倒木はかなり多く、毎回くぐるか、越えなければならないため少々面倒だ
特にザックなどが引っかからないようにするのが大変ところどころ道がわかりにくくなっているため、赤いテープを慎重に探しながら進む
12:05 3合目到着 少し開けた広場になっており、ここから富士吉田方面へ向かうこともできる 精進湖まであと13.2キロ まだ3分の2のこっている
なお、分岐の標識には何合目かは書いてないので注意(地図上で確認しなければ少し不安に感じるかもしれない)
12:15 3合目バス停付近到着(実際の3号目とスバルラインの3号目バス停は少々離れている)ここでは登山道はスバルラインのわきを通り、トンネル状に潜る
どストレートな一本道 登山道でこの感じはあまりないかも
やまなしの森林100選の看板
2合目付近はブナ林となっていて少し明るい
ところどころ写真のようなゲートがある
どうやら精進口登山道はもともと林道となっていたらしい(道路補修工事のため通行止めとなっているが、補修工事が行われているような雰囲気は全くなかった)
精進湖まであと11キロ!
途中 植林?箇所があったけれども、どうも広葉樹が育っている様子。ふつうの林業とは別なのかな?
12:35 舗装林道を渡る(ここで2合目)植生が変わり明るい道が続く(相変わらずの快晴が木々の隙間から見える)
この辺りは緩やかな傾斜のため、軽くトレランもどきで小走りで進んだ
時折休憩がてら先輩のコンパスでルートチェック(ちなみに富士の樹海でコンパスが機能しないというのはデマ きちんと北を指して仕事をしていた)
13:03 再び舗装林道を渡る(おそらく1合目) 残り9キロ
青木が原の樹海領域に入った模様樹海は明らかにほかの林とは異なり、ごつごつした溶岩にまとわりつくように根を張った木々が生い茂っていた
途中ひときわ目を引く立派な溶岩の塊も
樹海は一度入ったら出られないといったことがささやかれているものの、実際の登山道区間ははっきりしているため、迷うことは無さそう(少なくとも登山道的には、御庭から3合目までの区間のほうがわかりづらいと思う)
もちろん登山道を外れて入ってしまえば似たような凹凸や木々の雰囲気が続くため迷うことになると思うけど
ここいらで、エコツアーのガイドラインが出てきたこの辺りではエコツアーが行われている模様
13:40 富士甌穴の碑 少し寄り道
こちらが富士風穴(ふうけつ)
樹海の中にパックりと穴が開いている
以下そばの説明文を引用
「富士山麓の風穴は富士火山の各所から盛んに押し出した溶岩の内部がガス体を含み、外部から冷めて収縮する際、内部はまだ高熱であるため、外部からの圧力によって外皮の弱い部分が破れ、ガスや溶岩を吹き出した後の空洞である。
富士風穴は青木ヶ原、大室山北麓、海抜1,100m、精進湖畔より登山道に沿う約4㎞の地点に位置する。 洞内天井、側壁には氷が張りつめ、夏も溶けることなく7月の外気が18度のとき、幹道を12m入ると気温は0度~0.1度を保ち、12mの固くみごとな氷床が見られる。入口部は深さ64mの階段式で17mの方型、入口から延長200.3mの幹道が北東40度の方向に続いている。広い所では巾11m、高さが10mあり、壮大な洞内は氷柱やつららがすばらしい。」
だそうな。 奥まで入って行くには許可が必要らしいため、入り口だけちょこっとお邪魔して、引き返した
少し行くと、エコツアーの集団(2人組と10数人の2グループ)に出くわした。さすが3連休だ。
13:55 ほどなくして県道に出る 残り5キロ もうひと頑張りだ。
この辺りは樹海のうっそうとした雰囲気とは異なり、明るい里山の雰囲気。 ふかふかの地面を小走りで進むのが心地よい。
途中10分ほど休憩し、精進湖へ向けて進む
残り2.5キロの標識(地図上では乾徳道場分岐と書いてある)
乾徳道場とは何ぞや?と思ったがあまり気にせず先を急ぐ
(”乾徳道場”で検索するといろいろ怪しげな情報が出てきたりするが、どうやら日蓮宗のお坊さんが修行しているらしい)
最後の区間は落ち葉で覆われた舗装路
残り300m!
ついに精進湖手前に出た
今日のルート(一部は異なるが)14:58精進湖到着
次のバスは15:20発 その次は17時台になるため、今回一部区間をトレランしたことが功を奏したようだ
バス待ちの間は、赤池の交差点の自販機で缶コーヒーを買って一服
(ドライブインのベンチで休憩できるが・夕方の時間帯は日陰に入ってしまい、この時期は少し肌寒い)
バスは10分ほど遅れて到着 すでに登山客がそこそこ乗っていた (このバス停から乗ったのは我々2人のみ)
15分ほど乗り、休暇村で下車。(下車したのは相変わらず我々2人)
16:00 富士眺望の湯 ゆらりに立ち寄り一日の疲れをリフレッシュ
この温泉、そこそこ値が張る(土日祝 1500円)のだが、スマホで検索したところ、クーポンがあり200円引きの1300円で入浴できた。さらに無料で河口湖駅まで送迎してくれるので、バス代も考えると意外とパフォーマンスは高いかもしれない。
3連休とも会ってちびっ子たちでにぎわっていたが、露天風呂からは正面に富士山が見え まさに富士眺望の湯!
夕日に染まって色が変わりゆく富士山を露天風呂から堪能した
17:30 無料送迎バス(といってもハイエース)で河口湖駅まで送ってもらう(なお乗客は我々2人のみ!)
18:00 河口湖駅前到着 途中国道で停滞していたものの、地元の運転手の抜け道テクでそこそこの時間で到着 駅前の「ほうとう不動」で山梨名物のほうとうをいただくビールとボリュームたっぷりのほうほうで入浴中は空腹モードだったのが、すっかり満腹ムードに
- 19:10発の富士急線で帰宅 最寄り駅までは2時間余り
- 感想
富士山は登山する人が多く、5合目以下はあまり目を向けられていないと思うが、樹林帯をゆく道も雰囲気がよく、意外と楽しむことができた。
特に、ほかの登山者に出会うこともなく、静かな山を楽しむにはよいかもしれない。
一方でところどころ迷いやすい個所があり、数少ないテープを見逃さないように注意しないといけない。(1人だと心細くなるかも)
下方の道は似たような風景がひたすら続くのでところどころトレランをしつつ下ることでメリハリをつけたのが功を奏した。
樹海や風穴など、富士山ならではのふもとを楽しむことができ、一味違った富士山の楽しみ方かもしれない(富士山に登頂していない自分がいうのもナンだが・・・)
下山後の温泉や、「ほうとう」もしっかりと楽しみ、満足度たっぷりの山行だった。